業務の属人化と紙業務による働き方の硬直化を打開したい

日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、1951年に創立され、300を超える全国各地の生協が加盟する全国連合会としてコープ商品の開発と会員生協への供給、会員生協の事業や活動のサポートなどを通して、会員生協の発展を支える役割を担っています。

日本生協連は3,000万人を超える組合員が加入する大規模な団体として「平和とよりよい生活のために」のスローガンを掲げ、全国の生協の連合会的役割を担いながら、各種団体との交流を通じて生協への理解を広げ、社会制度の充実に向けた政策提言なども行っています。

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業務グループ グループマネージャー 吉井 浩二氏

そのような日本生協連で、生協とその関連団体・会社で働く役職員の相互扶助による事業を通して、加入者とその家族の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的とする組織として1973年に設立されたのが、「れいんぼーくらぶ」/全国役職員共済会です。「2025年現在は439会員、およそ11万人が加入する共済会組織となっており、死亡・医療の幅広い保障を備え、全10種類の見舞金や補助金制度、充実の連携サービスなど、多彩な福利厚生制サービスを提供しています」と「れいんぼーくらぶ」/全国役職員共済会 業務グループ グループマネージャー 吉井 浩二氏は説明します。

そんな「れいんぼーくらぶ」では、これまで事務局と会員、そして生協それぞれの担当者間での情報連携については、紙による申請と郵送による情報発信が基本となっており、手作業での業務で多大な輸送コストや人的労力を費やしてきた経緯があります。「仕事が人についてしまうという属人化によって、事務局側の負担はもちろん、各会員生協の業務負担も大きなものになっていました。また、各帳票を郵送することで到着するまでに地域によってタイムラグが発生し、電話による多くの問い合わせが事務局に寄せられるなど、受電対応の負担も大きかったのです」と同グループ 原山 信氏は当時を振り返ります。そのような状況下でコロナ禍を経験し、紙業務があるために出社を余儀なくされるなど働く環境の課題が顕在化、人手不足もあいまって、持続可能な組織運営にもつながる新たな環境を整備するためのプロジェクトがスタートしたのです。

高いコストパフォーマンスで必要な機能が網羅

新たな環境づくりにおいては、紙を軸にした申請の仕組みや事務局から発行される各種帳票の郵送業務を改善するべく、Web配信を念頭にペーパーレス化に取り組むことに。当初から、Webサイトやポータルを通じてWeb申請し、その結果をWeb配信するようなソリューションをイメージしていたため、複数のベンダーに提案を依頼したと言います。ただし、複数のソリューションを検討する中では、確かにWeb配信によって郵送コストはどのソリューションでも減らせるものの、基幹システムから出力する帳票との連携も含めて仕組みが複雑なものが多く、ランニングコストもそれなりにかかるものが多かったと言います。

そのような中で白羽の矢が立ったのが、ユニリタが提供するクラウド帳票基盤サービス「まるっと帳票クラウドサービス」でした。「必要としていない機能も含めて契約せざるを得ないものが多い中、われわれが求めていた機能が網羅でき、かつコストパフォーマンスが良かったのが「まるっと帳票クラウドサービス」でした」と原山氏。他社と比べ、ユニリタのソリューションはランニングコストが2分の1になるなど、コスト面でもユニリタを高く評価したのです。

使い勝手の面でも、「まるっと帳票クラウドサービス」を評価しました。特に大学生協のように少人数運営で多くの会員を抱えている組織もあることで、それぞれオフィス 環境もバラバラなため、誰にでも使いやすいものが求められたと言います。その点、「まるっと帳票クラウドサービス」はシンプルな画面構成で、負担なく利用できると判断。

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業務グループ  原山 信氏

また、帳票出力時の管理に「DURL」を利用していたことで、ユニリタが提供するソリューション同士の相性も良かったと言います。「基幹システムの帳票を配信するため、オンプレミスで導入している帳票生成システム『DURL』と柔軟に連携でき、シンプルに展開できると考えました」と原山氏。

加入者情報を扱う仕組みだけに日本生協連全体のセキュリティ基準にも照らし合わせたうえで要件を満たしていると判断し、結果として、各団体の会員担当者との間でやり取りする各種帳票を円滑に配信する仕組みとして、ユニリタの「まるっと帳票クラウドサービス」導入を決定。1年の間に会員向けに簡易動画の配信などで仕組み自体を啓蒙していき、最終的に「まるっと帳票クラウドサービス」によるWeb配信をスタートさせたのです。

郵送費用や専任職員の人件費含めて年間約650万円のコスト削減を実現

現在は、事務局と500名前後の団体ごとの会員担当者の間でやり取りされる各種帳票の受け渡しに「まるっと帳票クラウドサービス」を活用しています。日次配信の会員別振込明細やWeb支払申請受付書をはじめ、月次配信の加入番号通知リスト、異動明細報告書・掛金口座振替異動明細書、掛金過不足連絡書、そして、年次配信の事務委託手数料計算書、減資対象者リストという7つの帳票がやり取りされています。

日次処理 フローの具体例として、Web申請を受け付けた確認の帳票を配信するフローがあります。一般加入者が見舞金や補助金を受け取る際にWebサイトから申請し、その内容を事務局側で確認したうえで「まるっと帳票クラウドサービス」が持つWeb 配信オプションを利用して会員担当者へWeb支払申請受付書を日次のバッチで配信する流れです。「従来は紙で見舞金の申請書類を郵送し、それが事務局に届いた段階で支払申請受付のお知らせを郵送、また支払いした段階で会員別振込明細を郵送するなど、何度も郵送手配が必要でした。今はWeb申請をしてその受付確認書類をWeb配信にてすぐ確認いただけるようになっています」と吉井氏。

新たに「まるっと帳票クラウドサービス」を導入したことで、やり取りに必要だった年間6万通超の郵送費用が517万円削減することに成功しただけでなく、専任職員が行っていた作業工数を50%削減、135万円の削減も実現しています。「単年だけでこの費用対効果が得られており、5年の償却期間ではこの5倍もの削減効果が得られると試算しています」と原山氏は評価します。専任職員による属人化を解消することで、持続可能な組織体制としても貢献していると好評です。

また、発送後に寄せられる電話での問い合わせ件数も大きく減っていることが見えています。「郵便事情がよくない地域では、配達遅延や届かないといった問い合わせが頻繁に寄せられます。なかには郵送し直さざるを得ないなど、問い合わせ対応の負荷が大きかった。新たな環境では、必要な書類が翌日にダウンロードでき 、確実に届けられるようになりました。受電問い合わせは間違いなく減っています」と吉井氏。輸送による紛失リスクもなくなるなど、さまざまなメリットが得られています。
実際に配信した帳票を閲覧したかどうかの履歴も確認できるなど、紙による運用から脱却できた効果は大きい状況です。「郵送した後はきちんと届いているのか分からずにブラックボックス化していた部分もありますが、今は状況が見える化でき、情報到達までのリードタイムも大きく短縮できています。おそらく加入者含めた会員満足度は向上しているはずです」と原山氏。

システム構築については外部パートナーの協力を得て環境整備を行っており、ユニリタと直接やり取りする機会は少ないものの、「まるっと帳票クラウドサービス」の分かりやすいマニュアルは重宝していると原山氏。「会員側で担当者が異動してしまうケースでは、ユニリタが用意している分かりやすいマニュアルを使って具体的に確認する場所を通知することで、 引き継ぎに苦労することもあまりないようです。われわれが引き継ぎマニュアルを作る手間も省けています」と評価します。

利便性向上につながる加入者向けのマイページとの連携や取引先との帳票やり取りにも活用したい

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今後については、加入者向けのマイページなどを設置して各種手続きを加入者自身が行うことで、会員担当者の負担 軽減や業務の効率化を図っていきたいと言います。「われわれのHP上から加入者自身がWeb申請することができますが、他の手続きについても加入者自身がマイページ申請や手続きを進めていけるような環境づくりが望まれています。そんな環境になれば、加入者自身に対してWeb配信していくケースも出てくるため、マイページと『まるっと帳票クラウドサービス』の連携も含めて検討していきたい」と吉井氏は意欲的です。

また、共済の他にも各種保険商品も扱っているだけに、これら元受け会社をはじめとした企業との取引に関しても、帳票のやり取りが必要な場面で「まるっと帳票クラウドサービス」の出番が考えられると言います。「現状アナログでやり取りしているケースもあるため、1つの選択として『まるっと帳票クラウドサービス』も検討できるはず」と原山氏。

さらに、「現在はPDFの配信だけですが、いずれはCSVやExcelなどの配信も進めていけば、データ活用の幅が広がるなど、業務の省力化や自動化に向けた取り組みにもつなげていきたい」と今後について原山氏に語っていただきました。

れいんぼーくらぶ/全国役職員共済会様

創業 1973年11月
加入者数 合計106,838人 (本人91,463人、配偶者8,277人、子ども7,098人 2025年12月現在)
ホームページ https://kyousaikai.jccu.coop/
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