600を超える販売代理店を抱える株式会社日本標準では、本社移転を契機に帳票関連業務のDXを推進するべく、ユニリタの「まるっと帳票クラウドサービス」を採用。紙による注文書や請求書の郵送業務を刷新することで大幅な業務効率化やコスト削減を実現しています。
全国の小学校向けに教材などを出版している株式会社日本標準は、本社移転を契機とした業務改善の一環として、販売代理店に対して送付する注文書や請求書の郵送業務に、ユニリタが提供する「まるっと帳票クラウドサービス」を採用。帳票出力や各種帳票の名寄せ、封入・封緘、郵送作業にかかるコストや工数を大幅に削減することに成功しています。
そんな折、埼玉県日高市にある統合物流センターに本社機能を一本化することになり、手作業で行っていた請求書などの郵送業務を見直す必要に迫られたのです。経営管理部 財務室 後藤 保博氏は「移転前にこれらの郵送業務を一手に担っていた担当者は新たな本社への異動が難しく新たなメンバーで紙を中心とした業務を引き継ぎました。だだ、属人的な業務で煩雑だったこともあり、3名の社員が3日ほどかけて毎月の請求書の郵送業務を行わざるを得ない状況が続いたのです」と語ります。
そこで、これまで手作業で行っていた郵送業務を抜本的に刷新し、業務の効率化やコスト削減につながるシステム環境を整備することで社内でのDXを推進させるプロジェクトがスタートしたのです。
新たな環境づくりに向けては、既存の業務プロセスも維持できる仕組みが必要不可欠でした。「オレンジ色の専用封筒で受け取って初めて請求書が届いたことを判断する販売代理店もいたため、全てを電子化するのではなく、従来の紙で送付できる運用が併用できる環境が現場から求められていたのです」と後藤氏。コロナ禍でオンライン会議が常態化し、GIGAスクール構想などの影響で子供たち一人ひとりにタブレットが支給される時代となったことで、電子化へのハードルは低くなったものの、販売代理店から反発の声があがるという営業部門の懸念から、紙でも郵送できる環境は残しておきたかったと語ります。「急に大きく仕組みを変えるのではなく、ある意味で逃げ道を残しておきながら、電子化を少しずつ進めていくことが最良の選択肢だと考えたのです」(同部 全社情報課 エンジニアリーダー 本間 久裕氏)。
また、販売代理店側の混乱を避けるためにも、従来の帳票フォーマットが踏襲できることも必要でした。「使い勝手の良かった『DURL & FormHelper』という、長年使ってきた帳票作成の仕組みがそのまま利用できる環境を模索していました。印刷から発送するまでのプロセスは電子化するものの、基幹システムから出力されるCSVデータがそのまま利用できるなど、印刷前のプロセスは変更しない仕組みが理想的だったのです」と本間氏。
そこで「DURL & FormHelper」を提供するユニリタから提案を受けたのが、帳票の電子化や販売代理店へのWeb配信、そして封入・封緘といった郵送での手作業がアウトソーシングできる「まるっと帳票クラウドサービス」でした。郵送対応が継続できるだけでなく、既存フォーマットをそのまま利用でき、約2年半という短期間での投資回収が可能なコストパフォーマンスの良さを高く評価したのです。「教育機関の場合、学期末ごとに大きな金額が動くため、その際の請求書だけは郵送することも想定していました。手作業での工数も考慮すると多少割高になる部分もありましたが、投資対効果は高いと判断しました」と小沼氏。
システム的な運用負担を軽減できる点も評価したポイントの1つでした。「従来オンプレミスで運用してきた『DURL & FormHelper』の帳票資源がクラウドサービスでそのまま利用できるため、サーバー管理の負担も軽減できますし、手作業で時間のかかっていた帳票の名寄せなども自動化できる。まさに我々が求めていたサービスだと考えたのです」と本間氏は評価したのです。
郵送作業を行う印刷センターにも足を運び、実際の作業プロセスを見学する機会を得るなど、不安な部分も事前に解消することができたことも大きなポイントでした。その結果、電子化はもちろん、従来運用が踏襲できる帳票送付の新たな仕組みとしてまるっと帳票クラウドサービスが選択されることになったのです。
現在は、600ほどの販売代理店に送付する請求書をはじめ、年2回ほど送付する注文書といった帳票類を「まるっと帳票クラウドサービス」にてほぼ全て電子化できています。基幹システムから出力されるCSVデータを特定のフォルダに手作業で格納すると、「DURL」にて帳票化したうえで名寄せを行い、Web配信オプションを活用して事前に設定された販売代理店へのWeb配信までの自動化を実現。販売代理店に配信する前には、Web配信するPDFと同じものを営業側に送信して内容確認したうえで配信できるようなプロセスを経ています。
「まるっと帳票クラウドサービス」を導入したことで、年間およそ10万枚にも及ぶ紙帳票を電子化し、紙のコストや郵送代はもちろん、自動化によって大幅な工数削減を実現しています。具体的には、人件費は80%、費用面では30%以上もの削減効果が得られており、年間100万円以上のコスト削減に貢献している状況です。「郵送を考えていた学期末の請求書も全て電子化したことで、当初の想定よりも短期間で投資費用が回収できています」と小沼氏は評価します。なお、メールなどで配信していたチラシや個別の注文書、物流関係の部門で発生する請求書など、教材販売以外の事業領域においてもWeb配信オプションを活用して顧客に情報を届けているなど、取引先への情報伝達手段となるコミュニケーション基盤としても活躍しています。
また、新たな環境によって、販売代理店に請求書が届くまでのリードタイムが大幅に短縮でき、キャッシュフローの改善にも貢献しています。「郵送の場合、土日や休日が重なると最長で7営業日程度かかっていましたが、Web配信の場合は、3~5営業日は短縮できています。販売代理店の決算と重なる場合は、個別に郵送作業を急ぐように手配していましたが、今はそんな手間もなくなっています。Web配信オプションなら開封確認が可能ですし、請求書が早く欲しいという声も聞かなくなりました」と後藤氏。手作業による名寄せや封入ミスといったリスクも回避できるようになり、ペーパーレス化によって証跡確認などの検索も容易で、紙の保管スペースも不要になっています。
システム面では、帳票作成も含めてクラウドサービスとして利用できるため、オンプレミスで管理していた帳票作成用のサーバー管理からも解放されています。「サーバーのバージョンアップも含め、管理負担が軽減できたことも大きな効果の1つ」と本間氏。そして、今回の「まるっと帳票クラウドサービス」の導入がDX推進における成功体験となったことも見逃せません。「デジタル化によってもたらされる効果を現場が肌で感じることができ、社内でもデジタル化に向けた意識改革が大きく進んだのではないでしょうか」と小沼氏は評価します。
今回のプロジェクトでは、新年度の稼働を目指したこともあり、システム構築や販売代理店への告知およびお試し運用まで含めて半年という短期間のうちに環境を整備することが求められました。「毎週のように会議に参加いただきながら、我々の要求に対して真摯に対応していただきました。ビジネスロジックを組み込んで実運用に適した形に調整いただけたのも手厚い支援のおかげです」とユニリタに対して本間氏は高く評価します。帳票以外の付随データを送付するといった要件に対しても、柔軟にシステム改修を行ったユニリタの対応力についても高く評価しています。
すでに多くの販売代理店と注文書や請求書をやり取りする基盤として「まるっと帳票クラウドサービス」が活用されていますが、引き続き情報伝達のための基盤として活用の幅を広げていきたいと意欲的です。「特にWeb配信の仕組みを利用して、物流をはじめ別の事業において取引先とやり取りする手段の1つとして期待しています」と本間氏は期待を寄せています。
また、基幹システムからのCSVデータのアップロードなど、現在も一部手作業による業務は残っているため、さらなる業務の自動化、省力化に向けた環境づくりを進めていきたいと言います。「今回の取り組みでデジタル化を中心としたDXの取り組みが形となり、デジタルを駆使して自分たちの身近な業務を工夫するなど、新たな話題も出てくるようになっています。これからのDX推進に向けての試金石として、新たな活動にもつなげていきたい」今後について小沼氏に語っていただきました。
創業 | 1950年7月1日 |
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社員数 | 一般従業員 90名・パート従業員100名(2025年8月20日現在) |
ホームページ | https://www.nipponhyojun.co.jp/ |
小浦石油株式会社 様
エース株式会社 様
株式会社ユニリタ
株式会社日本標準は、1950年に戦後の教育支援として教材作成から事業をスタートし、現在は全国の小学校向けの学校用教材とともに、裁縫セットや習字セットなどの教具、さらに小学校・中学校の教育実践に役立つ教育書や児童書などの出版を手掛けています。近年ニーズの高まるデジタル教材の提供や教材発送で培ったノウハウを生かして物流代行まで幅広い事業を展開、「すべての子どもに学力を、生きる力を」を社是として、公教育を通して社会に貢献しています。
教材販売を手掛ける600を超える販売代理店と取引がある同社では、販売代理店 との間で取り交わされる注文書や請求書は紙の帳票をベースに行っており、鑑や明細、内訳表などをそれぞれ印刷して手作業で名寄せし、指定の封筒に封入・封緘し、郵送を行っています。販売代理店へ郵送する請求書と年2回ほど郵送する注文書の枚数は、年間で10万枚を超える規模になり、印刷から発送に至る郵送業務の負担が大きい状況にありました。「休日などがある場合は、請求書を発送するまで数日のリードタイムが発生し、入金締切日までの時間が短くなってしまうことでお客様に迷惑がかかるケースもあったのです」と経営管理部 全社情報課 チーフリーダー 小沼 武士氏は当時を振り返ります。