システム概要

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紙による納品書発送業務を大きく刷新、ペーパーレス化に向けた環境整備を推進

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物流部 菊川物流センター 栗田 篤志氏

1948年に配線器具やスイッチの製造から創業、現在は高圧受電設備や分電盤、システムラック、金属キャビネットをはじめとした電気機械器具の製造・販売を中心に事業展開している日東工業株式会社。全国40拠点以上の営業所と8つの工場を持ち、シンガポールやタイ、中国など生産・販売拠点のグローバル展開も行っています。高品質・短納期を実現する生産体制とともに、豊富な試験データと評価技術で顧客満足を追求しており、グループ企業が持つ先進の技術と英知を結集し、電気設備や機器を開発・提案し続けています。

同社で全国発送の拠点として機能しているのが、菊川物流センターです。同社最大の物流拠点で他工場も含めて生産される商品を集約しています。「小型ブレーカーから大型の金属製キャビネットまで13,000点以上の在庫を常に確保しており、1日多い時で15,000個超を出荷することもあります。全国にいるお客さまの需要に対して迅速に応えられるような環境を整備しています」と説明するのは物流部 菊川物流センター 栗田 篤志氏です。


製品出荷にあたっては、納品先と請求先が異なるため、製品に同封する送り状とは別に、取引先に対して納品書を個別に郵送する必要がありました。「1日平均でも1,000通を超え、2,600枚を超える納品書を印刷し、封入封緘したうえで郵便局へ持ち込む業務が当たり前になっていたのです」と栗田氏は当時を振り返ります。

2024年10月からの郵便料金値上げや納品書到着までのリードタイム長期化など、さまざまな課題が顕在化していたこと、社内でDX推進の動きが強まっていたことから納品書業務のプロセス改善と電子化のプロジェクトが始まったのです。「納品書の電子化を進めることが、コスト削減効果としてもインパクトが大きい。すでに請求書などは電子化が進んでいたこともあり、納品書に関しても電子化していくことを目指したのです」と栗田氏は説明します。

紙の郵送も併用可能な「まるっと帳票クラウドサービス」がペーパーレス化の起爆剤に

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物流部 菊川物流センター  神山 祐依子氏

そこで、納品書の電子化に向けて情報システム部に相談したところ、ユニリタが提供している「まるっと帳票クラウドサービス」というソリューションを知り、提案をいただきました。「現場への展開を考えると、既存の帳票をそのままシンプルに電子化できる仕組みが理想でした。情報システム部にてユニリタが提供する帳票作成ソフトのDURLを使っていたこともあり、既存資産の活用やシステム連携のしやすい点も含めて検討を進めました」と栗田氏。

システムの設計から構築、テスト、顧客へのWeb配信までを半年程度で実現でき、納品書のペーパーレス化を早期に展開させることができると見込み、ユニリタからの提案を評価したのです。「自社や他社で構築した場合に比べて、まるっと帳票クラウドサービスを利用すれば半年程度で環境が整備できることが決め手になりました」と栗田氏は評価。

過去にも納品書の電子化の機運が高まったことが何度かありましたが、構築までの期間や取引先へは現状を維持したい営業部門からの意向もあって、なかなか前に進まなかった経緯も。「既存の運用が踏襲できるよう、郵送も併用できることが条件の1つ。『まるっと帳票クラウドサービス』であれば郵送での運用も維持できることが大きなポイントでした」と同部 神山 祐依子氏は語ります。顧客が納品書を受け取るWeb配信に関しても、シンプルな画面で簡易的な操作感により、取引先へ展開しても十分受け入れてもらえると判断しました。
検討を進めた結果として、納品書発送の電子化を実現するソリューションとして、「まるっと帳票クラウドサービス」が選択されたのです。

電子化実現の立役者「情報システム部」の存在

まるっと帳票クラウドサービスの検討から導入まで、情報システム部はなくてはならない存在でした。物流部と共に半年間プロジェクトを伴走してきた情報システム部。情報システム部メンバーは愛知県長久手市の本社に在籍しているため、プロジェクト期間中はリモートで打ち合わせに参画。物流部で業務要件は把握しているもののシステム要件に関しては自分達だけではわからないため、情報システム部営業システム課が主導で進めてくれました。ユニリタへのシステム要件や運用における懸念点の確認等、積極的に関わってもらうことで大きな問題なく進められました。また、システム構成の検討からシステム導入準備、検証からテストまで、全面的なサポートがあったことが短期間で電子化を実現できた点でもあります。情報システム部という信頼できるパートナーがいたらからこそ、安心かつスムーズにプロジェクトを進めることができたと、栗田氏は当時を振り返ります。

1年足らずで取引先の82%が電子化へ移行、月80万円超のコスト削減を達成

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「まるっと帳票クラウドサービス」を活用し、納品書の電子化およびWeb配信の基盤を整備し、現在は3,000ほどある代理店のおよそ82%がWeb配信にて納品書を受領している状況です。「当初は導入1年で30%程度のお客さまがWeb配信に移行してくれると想定していましたが、サービス開始後1カ月で移行率60%超えを達成し、10カ月ほどで82%ものお客さまに移行いただけています。お客さまに営業担当がきちんと説明してくれたことで、実際にやってみたら意外に簡単、と理解いただけたのではないでしょうか」と神山氏。

日々の運用は、基幹システムから出力された納品書データを元に、「まるっと帳票クラウドサービス」でPDF帳票として作成し代理店ごとに仕分けを実施後、Web配信サービスeco Deliver Expressによって代理店ごとに自動送信されるので、代理店側は送信されるメールのURLをクリックしてダウンロードするだけで済み、プロセス全体がほぼ自動化されています。「私達は納品書のデータがきちんとアップロードされたかどうかの通知を受け取るのみで、物流部としてはほとんど手がかからなくなっています」と栗田氏。

電子化開始に向けた取引先への事前連絡については、毎月郵送する納品書にWeb配信の案内書を同梱し、納品書受領のリードタイム短縮や紙の保管スペース削減などのメリットも含めて継続的にお知らせしていきました。また、各営業担当者に対しては動画配信のプラットフォームを経由して説明会を実施し、営業所に在籍する各営業担当者が取引先に説明できるよう、サポートしていきました。

新たに環境を整備したことで、初期費用は、導入後7カ月ほどでコスト回収に成功し、以降郵送代だけで毎月80万円超のコストダウンが可能になっています。ペーパーレス化が大きく進み、納品書や社内向けの指示書を16,000枚ほど印刷していたものが今では57%ほどの削減ができています。「遠方への郵送や土日含めた休日を含めると、納品書到着までに1週間を要してしまうケースもありましたが、今ではデータ入稿当日にはWeb配信にて受け取れるなど、リードタイムも大幅に短縮できています」と栗田氏は評価します。また、紙の印刷や封入封緘に必要な機器の稼働も必要最低限に抑えることができ、機器メンテナンスの費用なども大きく削減できる見込みです。

ユニリタについては、「プロジェクト定例会を通じ、仕様の打ち合わせからシステム構築、稼働に至るまでほぼスケジュール通りに進めてもらえました」、「お客さまの情報を全て手入力しなければならない場面でも、登録を簡素化するシークレットコードの利用で物流部の負担を軽減する提案など、業務面でのサポートもいただきました」と神山氏は評価します。

電子化100%に向けた啓蒙活動とともに、Web配信基盤を他業務へも展開したい

今回の取り組みは、中期経営計画にも掲げているグループ経営基盤のDX推進における成功事例の1つとなり、デジタル活用でビジネスプロセス変革を成し遂げています。デジタル活用が大きな成果を生むことが現場に広まったことで、DXへの取り組みに弾みをつけることができると期待しています。

現状では、「郵送からWeb配信に80%を超える取引先が移行していますが、数カ月以内には100%に持っていきたい」、「営業所ごとにお客さまの電子化の状況を可視化し、こちらから対応を促していくことで、目標達成に向けて電子化をさらに加速させていきたい」と神山氏は意欲的です。
またWeb配信により従来紙で運用している他業務に対しても同じ基盤を用いて業務の効率化やペーパーレス化によるコスト削減などを進めていきたいと栗田氏に今後の展望についても語っていただきました。

 

日東工業株式会社

創業 1948年11月24日
社員数 連結5,338名 単体2,216名(2025年3月31日現在)
ホームページ https://www.nito.co.jp/
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