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API連携が可能な電子帳票システムとは?おすすめと選び方を徹底解説

電子帳票システムは便利なツールですが、他システムとの連携ができていない場合、さまざまなデメリットが生じ、業務効率化やDX推進の妨げとなる可能性があります。
データ連携ができれば、特にAPI連携が可能な電子帳票システムを導入すれば、これらの課題の多くは解決できます。
そこで本記事では、API連携可能な電子帳票システムのメリットや選び方のポイント、そしておすすめのシステムについてご紹介いたします。
電子帳票システムとは
そもそも、電子帳票システムとは、何でしょうか?
電子帳票システムとは、企業内で作成・利用されるさまざまな帳票(請求書、領収書、発注書、納品書など)を電子データとして生成、管理、保存するシステムのことです。
電子帳票システムを利活用することにより、紙ベースでの帳票運用に伴う印刷、封入、郵送、保管といった一連の作業が不要となり、業務効率化やコスト削減、ペーパーレス化の推進につながります。
近年、企業には帳簿に関連して、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入など法改正への対応も求められており、電子帳票システムの導入は喫緊の課題となっています。
情報システム部のご担当者様にとっては、これらの法対応だけでなく、既存システムとの連携や業務プロセスの改善といった観点からも、電子帳票システムの選定は重要なミッションの一つとなっています。
API連携とは
API連携についてもおさらいしておきましょう。
API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーション同士が互いに情報をやり取りするためのインターフェースのことです。
APIを利用することで、それぞれのシステム上に同じ機能を開発する必要がなくなり、開発にかかる期間やコストを抑えることが可能です。
APIにより、たとえば販売管理システムで入力した売上データを電子帳票システムに自動で連携し、請求書を生成するといった、手作業では煩雑だった業務を自動化することができます。
API連携は既存のシステム資産を最大限に活用しながら、新たなシステムを導入する上で、柔軟かつ効率的なシステム連携を実現するための重要な技術要素と言えます。
API連携が可能な電子帳票システムのメリット
API連携が可能な電子帳票システムを導入することで、さまざまな課題が解決され、企業全体の生産性向上についながります。
主なメリットは、次の4点です。
既存システムを活かした柔軟な連携が可能
API連携により、現在利用している基幹システムや販売管理システム、会計システムなどと電子帳票システムを直接つなぐことが可能になります。
このため、データの二重入力や手作業によるデータ転記といった手間がなくなり、ヒューマンエラーのリスクを大幅に低減できます。
既存のシステム資産を有効活用できるため、大規模なシステム改修を行うことなく、スムーズに電子帳票システムを導入できる点が大きなメリットです。
帳票作成・配信の工数を大幅に削減
APIを通じて、必要なデータを自動的に電子帳票システムに取り込むことで、帳票の作成・配信業務を自動化できます。
たとえば、販売データが確定した時点で、自動的に請求書が生成され、指定の形式で出力・配信されるといった連携が可能です。
これにより、これまで帳票作成にかかっていた時間や手間を大幅に削減し、経理部門や営業部門の業務負荷を軽減できます。
業務プロセスの自動化による効率化
API連携により、帳票作成業務に留まらず、社内の一連の業務プロセス全体の自動化の実現が可能です。
たとえば、顧客からの注文データをAPI経由で受け取り、自動で納品書や請求書を発行し、さらに会計システムへ仕訳データを連携するといった、部門をまたいだ業務フローをシームレスにつなぐことが可能になります。
このため、業務が滞ることがなくなり、スピーディーな処理を実現します。
これにより、全体的な業務効率を飛躍的に向上させることができます。
開発コストと期間の削減
1からシステムを開発する場合と比較すると、API連携機能を活用することで、開発にかかるコストや期間を大幅に削減できます。
すでに構築されたAPIを利用するため、複雑なインターフェース設計やプログラミングが不要となり、システム導入までのリードタイムを短縮できます。
このため、情報システム部にとっては、限られたリソースの中で最大の効果を出すための有効な手段となるでしょう。
API連携が可能な電子帳票システムを選ぶ際のポイント
API連携が可能な電子帳票システムを検討する際、特に注視すべきポイントをご紹介します。
API仕様の公開範囲と連携のしやすさ
まず、システムのAPI仕様がどの程度公開されているかを確認することが重要です。
詳細なドキュメントが提供されているか、開発者向けのサポート体制は充実しているかなどを確認しましょう。
APIが使いやすい設計になっているか、既存システムとの連携に際して、複雑なカスタマイズが必要ないかどうかも重要な選定基準となります。
可能であれば、テスト環境でのAPI連携の検証を行い、実際の連携のしやすさを確認することをおすすめします。
セキュリティ対策(認証方式、暗号化など)
API連携によってシステム間で機密性の高い情報がやり取りされるため、セキュリティ対策は最重要項目です。
APIの認証方式が堅牢であるか、データ通信が適切に暗号化されているか(SSL/TLSなど)、トークンや署名が使用されているか、使用履歴を閲覧できる仕様かなどを確認してください。
また、ベンダーのセキュリティに対する取り組みも確認しましょう。
段階的に導入計画を立てる
大規模なシステム導入は、予期せぬトラブルや業務への影響を招く可能性があります。
そのため、API連携可能な電子帳票システムを導入する際は、段階的な導入計画を立てることをおすすめします。
まずは、小規模な部門や特定の帳票から導入を開始し、運用状況を見ながら徐々に連携範囲を広げていくことで、リスクを低減し、スムーズな移行を実現できます。
API連携が可能な電子帳票システム
数ある電子帳票システムの中から、特にAPI連携に強みを持つ、あるいは注目すべきシステムをいくつかご紹介します。
※最新の情報や詳細な料金プランについては、必ず各サービスの公式サイトをご確認ください。
AUTO帳票EX
「AUTO帳票EX」は、日本テレネット株式会社が提供する電子帳票システムで、大量の帳票を効率的に管理・出力することに強みを持ちます。
高速FAX配信機能を備えており、大量にFAX送信ができるため、帳票をFAX送信する必要がある企業に向いています。
API連携により、基幹システムからのデータを取り込み、自動でFAX送信までを完結させることが可能です。
APIのほか、SMTP/FTPのプロトコルに対応しており、都合に合った接続方法を選べます。
invox電子帳簿保存
「invox電子帳簿保存」は、株式会社invoxが提供する電子帳票システムで、国税関係書類に特化しています。電子帳簿保存法に対応。
invoxシリーズとしてほかに、「invox受取請求書」「invox発行請求書」「invox経費精算」「invox炭素会計」も提供されています。
API連携による他システムとの連携も可能で、外部システムとの連携が可能です。
どのプランも初期費用0円で始められますが、APIを利用できるのは「プロフェッショナルプラン」のみとなっています。
Bakuraku(バクラク)電子帳簿保存
https://bakuraku.jp/denshichobo/
「Bakuraku(バクラク)電子帳簿保存」は、株式会社LayerXが提供する電子帳票システムです。AIが搭載されており、書類をアップロードするだけで、高精度AIが情報を読み取り、数秒でデータ化してくれます。同時にAIが自動入力・保管できる帳票数は最大100枚。
Bakurakuシリーズとしてほかに、請求書受取、請求書発行なども提供されています。
API連携機能も備えており、既存の会計システムなどと連携することで、証憑のアップロードや管理を自動化し、経理業務の大幅な効率化に貢献します。
API開発の課題を解決する、もう一つの選択肢
API連携は強力な自動化手段ですが、その導入には専門的な開発が伴うため、開発コストや期間、保守・運用負荷が課題となるケースも少なくありません。「システム連携はしたいが、API開発に割くリソースがない…」そんな悩みを抱える企業にとって、API開発とは異なるアプローチでシステム連携を実現するサービスが有力な選択肢となります。その代表例が、次に紹介する「まるっと帳票クラウドサービス」です。
まるっと帳票クラウドサービス
https://marutto-chohyo.unirita.co.jp/
「まるっと帳票クラウドサービス」は、株式会社ユニリタが提供するクラウド型の電子帳票システムです。本記事のテーマであるAPI連携機能は公開していませんが、それに代わる独自の強みで多くの企業に選ばれています。
【API開発不要の「フォルダ配置型」データ連携】
API連携の代わりに、指定のフォルダに帳票データを配置するだけの「フォルダ配置型アップロードツール」を提供しています。APIを利用した連携開発が不要なため、開発コストを大幅に抑制できるのが大きなメリットです。情報システム部門に大きな負担をかけることなく、手軽にデータ連携を実現できます。
【帳票業務の「まるごとアウトソーシング」】
もう一つの大きな特長は、データ加工から帳票作成、印刷・封入・発送、そして保管に至るまで、一連の業務を丸ごとアウトソーシングできる点です。現在お使いの基幹システムから出力している帳票データをそのまま渡すだけで、既存の帳票フォーマットや運用フローを変更することなく、面倒な帳票業務をアウトソーシング化し、業務効率化を実現できるのが魅力です。
【シェアNo.1「楽楽明細」との連携が生む、新たな価値】
「まるっと帳票クラウドサービス」は、請求書発行システムでシェアNo.1を誇る「楽楽明細」と連携。この連携では、面倒な自動連携、データ加工、PDF加工、そして「楽楽明細」とのAPI連携までを「まるっと帳票クラウドサービス」が担い、「楽楽明細」はWeb配信という得意領域に特化します。この連携ソリューションでは、以下のような戦略的なメリットが生まれます。
- 圧倒的な信頼性とブランド力
シェアNo.1の実績を持つ「楽楽明細」のWeb配信機能を利用できることは、サービス選定における大きな安心材料となります。サービスの信頼性や将来性を重視する企業にとって、強力な後押しとなるでしょう。 - 「楽楽明細」導入のハードルを解消
「楽楽明細を導入したいが、API開発やデータ加工がネックだった」という企業に最適なソリューションを提供します。「まるっと帳票クラウドサービス」が面倒な連携部分をすべて担うため、お客様は「楽楽明細」のメリットだけを、最小限の負担で活用できます。 - 郵送とWeb配信の理想的なハイブリッド運用
通常、Web配信サービスを導入すると、郵送代行は既定の用紙や封筒に限定され、個別の発送要件には対応できません。しかし、「まるっと帳票クラウドサービス」では、個別要件(特殊な用紙・封筒など)に対応した郵送代行をワンストップで提供。Web化を進めつつも、取引先ごとの細かな要望にも応え続ける、理想的なハイブリッド運用を実現します。
詳しくは、下記の公式サイトをご覧ください。
https://marutto-chohyo.unirita.co.jp/
まとめ
API連携は、情報システム部が主導する業務効率化やシステム連携において、非常に強力な手段となり得ます。
手作業による業務の自動化、ヒューマンエラーの削減、そして業務プロセス全体の効率化を実現することで、企業全体の生産性向上に大きく貢献します。
しかし、その導入には専門的な開発スキルやコスト、保守・運用といった課題が伴うことも事実です。そのため、すべての企業にとってAPI連携が唯一の正解とは限りません。API開発のリソースを割けない、保守・運用負荷を軽減したいといった場合には、「まるっと帳票クラウドサービス」のようなフォルダ連携機能も有効な選択肢となります。
電子帳票システムの導入を検討されている情報システム部のご担当者様は、ぜひ本記事を参考に、自社に最適なシステムを見つけてください。
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執筆者情報

小柳 晶(こやなぎ あきら)
株式会社ユニリタ セールスプランニングディビジョン
ユニリタの前身である(株)ビーエスピーに開発者として入社。自社プロダクトの開発、自社製品周辺のシステム構築、受託開発のPM、セールスエンジニアを経験し、特に帳票業務運用に精通。電子帳簿保存法対応やペーパーレス化、印刷業務の効率化などシステム構築だけでなく、その先の運用を見据えた幅広い業務改善を100社に及ぶ企業に実施。現在は帳票プロダクトのクラウドサービス化企画に従事する傍ら、帳票運用や運用改善のコラム執筆・セミナー登壇も行っている。





