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帳票DXとは?背景や推進するメリットをわかりやすく解説

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帳票DXとは、帳票の作成・管理・配送などの帳票に関わる業務を最新のデジタルテクノロジーの力で変革させることをいいます。

紙やExcelでの帳票管理に限界を感じていませんか?
現在、多くの日本企業がDXを掲げる中で、業務の効率化やペーパーレス化、セキュリティ対策など、さまざまな課題を解決する鍵が「帳票DX」にあります。

本記事では、帳票DXの概要と推進の背景、電子化による具体的なメリット、導入方法についてわかりやすく解説します。社内業務の改善にお悩みの情報システム担当者の方は、ぜひご一読ください。

帳票DXとは?

帳票DXとは、帳票(請求書、納品書、申請書など)の作成・配信・管理といった一連の業務を、デジタル技術を活用して変革する取り組みを指します。

特に、紙やExcelベースで運用されてきた帳票業務に対して、電子化やクラウドツールの導入を通じて自動化・省力化を図ることで、業務全体の生産性を向上させる取り組みが広がっています。

従来の帳票業務では、印刷・捺印・郵送・保管といったアナログ作業が多く、ヒューマンエラーや情報管理の煩雑さが課題となっていました。
そこで帳票DXを推進することで、これらの業務を可視化・標準化してシステム化し、時間的・金銭的コストの削減や、ヒューマンエラーの軽減を実現できます。
加えて、クラウド対応のサービスを活用すれば、テレワーク環境でも帳票業務が滞りなく遂行可能となり、働き方改革の実現にもつながります。

【おさらい】DXとは

そもそもDX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルそのものを変革し、競争優位性を確立する取り組みを意味します。

日本では、「2025年の崖」問題を背景に、企業に対して積極的なDX推進を求めており、多くの大手企業がこの流れに対応するための投資を加速させています。

帳票DXは、こうした全社的なDX推進の一部であり、「業務の見える化」「データの一元管理」「非効率な手作業の排除」といった目的のもとで取り組まれています。
特に情報システム部門においては、帳票業務を起点にDXの成功事例を積み重ねることで、社内全体のデジタル化を牽引する役割が期待できるでしょう。

帳票DXが必要な背景

帳票DXの必要性が高まる背景には、日本企業が直面するさまざまな構造的な課題が関係しています。

業務継続リスクの顕在化

少子高齢化による人材不足は、事務処理や帳票作成などのバックオフィス業務にも深刻な影響を与えています。

帳票業務には、定型的かつ繰り返し行われる業務であるにもかかわらず、担当者に依存する傾向が強く、属人化が進みやすいという特徴があります。
たとえば、社内システムからのデータ抽出方法や独自の計算式、部門ごとのルールなどが暗黙知として蓄積されやすく、担当者の退職や異動によって業務が停滞するリスクが高まります。

帳票DXを通じて業務を標準化・自動化することにより、限られた人員や人の入れ替わりがあった場合でも業務を安定的に継続できる環境を整えることができるようになると期待できます。

法制度対応の煩雑化と更新対応の限界

電子帳簿保存法やインボイス制度といった帳票に関連する法制度は年々複雑化していますが、法令を厳格に遵守することが求められます。

しかし、紙ベースや旧来のExcel管理では対応に限界があり、対応漏れによるリスクも少なくありません。

帳票DXを通してシステム化することにより、法制度変更にも柔軟に追従でき、企業としてのガバナンス強化にもつながります。

サイロ化(分断化)した帳票データが意思決定を妨げる

部署ごとに個別に帳票を管理していると、情報のサイロ化が発生し、全社的なデータ活用が困難になってしまいます。
このような状態では、迅速かつ正確な意思決定に必要な情報を一元的に把握できず、経営判断の遅れや機会損失を招く恐れがあります。

そこで帳票DXにより帳票データを集約・構造化することで、データドリブンな意思決定が可能となり、経営戦略の精度向上も期待できます。

帳票DXのメリット

帳票DXによって得られる主なメリットを情報システム部門の視点からまとめると、次の4点が挙げられます。

帳票業務の効率化

従来の帳票の作成・印刷・押印・発送といった業務を自動化することで、手作業に比べ、時間や手間を大幅に短縮できます。
たとえば、定型的な帳票はテンプレート化し、データベースからの自動入力を行うことで、人為的ミスを削減しつつスピーディな処理が可能になります。

これにより、情報システム部門はシステム保守や戦略的業務により多くのリソースを割けるようになります。

コスト削減

帳票を電子化することにより、印刷費・用紙代・郵送費・保管スペースといった直接的なコストを削減することができます。
また、物理的な保管・管理が不要になるため、人的リソースの最適化にもつながります。

特に、クラウドベースの帳票管理ツールを導入すれば、自社でのサーバー管理が不要となり、初期投資や保守・運用のコストも軽減できます。

帳票管理の手間が省ける

帳票の発行状況や送付履歴、受領状況などを一元的に管理できる環境を構築することで、検索や追跡の手間を大幅に軽減します。
また、承認フローや配信スケジュールの自動化も可能になり、担当者の工数削減と対応ミスの防止にも寄与します。

これにより、業務の透明性とスピードが向上します。

管理のセキュリティ強化になる

紙の帳票では物理的な盗難・紛失・改ざんといったリスクがありますが、電子化することで、アクセス権限管理や通信の暗号化、ログの記録といった高度なセキュリティ対策が実現できます。

また、BCP(事業継続計画)の観点からも、災害時のデータ保全を実現しやすくなる点も見逃せません。

帳票DXを実現する方法

帳票DXを推進するには、現状の帳票管理プロセスを見直し、段階的に電子化・自動化を進める必要があります。

電子帳票ツールで帳票を作成

帳票DXを本格的に進める上で効果的なのが、電子帳票ツールの導入です。

専用ツールには、帳票データの自動生成や承認フローとの連携、セキュリティ管理などの機能が備わっており、法制度対応や内部統制への備えも万全です。
また、既存の業務システムと柔軟に連携できるツールも多く、現場の業務フローを大きく変えずにDXを実現することが可能です。

ただ、ツールの導入には一定のコストや操作に関する教育期間が必要である点も忘れてはいけません。

帳票DXのその先へ。帳票出力業務をすべて代行できるサービス

帳票DXを通じて社内業務の電子化が進んでも、帳票の出力や発送といった「最後の一手間」が手作業として残ってしまうケースは、少なくありません。
特に、大量の帳票を扱う大手企業においては、印刷・封入・発送といった作業が業務負担となり、人的リソースやコストを圧迫しています。

こうした課題を解消するソリューションとしておすすめなのが、帳票出力業務をまるごと代行するサービスです。

まるっと帳票クラウドサービス

ユニリタが提供する「まるっと帳票クラウドサービス」は、帳票の作成から出力、配信、保管、さらには発送までを一貫して代行するクラウドサービスです。

このサービスを活用することで、帳票関連の煩雑な業務を完全に外部委託することができ、業務負荷を軽減し、より重要な業務へリソースを集中することが可能になります。

「まるっと帳票」は、以下のような特長を備えています。

  • 多様なフォーマットに対応…請求書・納品書・注文書など、あらゆる帳票形式に柔軟に対応
  • 現在のお客様システムから出力されるデータをそのまま入稿できるため「サービス利用のためのデータの加工業務」を必要としません
  • 紙媒体での印刷・発送だけでなく、電子化・Web配信も可能
  • 出力・発送をワンストップで代行…印刷、封入、郵送などの実務をすべてアウトソース可能
  • セキュリティと法制度対応も万全…電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応
  • クラウドベースでの運用が可能…自社サーバー不要、導入がスピーディかつ低コスト

さらに、帳票データを一元的に管理できるため、業務の可視化と分析も容易になります。
これにより、帳票に関する全体最適が図れるだけでなく、DX推進の成果として社内により効果的にアピールできます。

帳票業務の完全アウトソーシングにより、真の意味での業務効率化とガバナンス強化を実現する――それが「まるっと帳票」が提案する新しい帳票DXのかたちです。

まるっと帳票の詳しい情報はこちら

まとめ

「帳票DX」は、単なる業務改善にとどまらず、企業全体のデジタル化を推進する大きな第一歩となります。
特に、情報システム部門が主導することで限られた人材での業務継続性の確保、法制度対応、データ活用、セキュリティ強化といった、現代企業が直面する多くの課題を同時に解決することが可能です。

電子帳票ツールやクラウドサービスの導入によって、業務フローの最適化と全社的な業務連携の強化を図ることが可能です。
特に「まるっと帳票」のように帳票出力から発送までを一貫して代行するサービスを活用すれば、業務負担の軽減と全体最適が現実のものになります。

今後の企業経営において、DXの取り組みは必須となるでしょう。
まずは身近な帳票業務からDXを始めることで、社内のDXマインドを育て、全社的な変革の足がかりを築いてみてはいかがでしょうか。

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執筆者情報

小柳 晶(こやなぎ あきら)

株式会社ユニリタ セールスプランニングディビジョン

ユニリタの前身である(株)ビーエスピーに開発者として入社。自社プロダクトの開発、自社製品周辺のシステム構築、受託開発のPM、セールスエンジニアを経験し、特に帳票業務運用に精通。電子帳簿保存法対応やペーパーレス化、印刷業務の効率化などシステム構築だけでなく、その先の運用を見据えた幅広い業務改善を100社に及ぶ企業に実施。現在は帳票プロダクトのクラウドサービス化企画に従事する傍ら、帳票運用や運用改善のコラム執筆・セミナー登壇も行っている。

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